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株式譲渡と事業譲渡、何が違う?税金は?

M&Aの代表的な2手法。引き継ぎ範囲・手続き・税金の違いに加え、退職金スキームやのれん・消費税まで整理します。

01仕組みの根本的な違い

株式譲渡は会社の株式そのものを売買する手法で、買い手は法人を丸ごと取得します。許認可・契約・従業員・債務を原則そのまま引き継ぐため手続きが比較的簡便で、中小M&Aで広く使われる王道とされています。

事業譲渡は、会社が持つ資産・負債・契約・従業員などを個別に選んで移す取引です。欲しい部分だけを承継でき、簿外債務などのリスクを切り離せる一方、対象を一つずつ移転する手間がかかります。

POINT

ざっくり言うと、株式譲渡=会社まるごと/事業譲渡=欲しい部分だけ。

02引き継がれる範囲の違い

許認可は、株式譲渡なら法人格が継続するため原則そのまま引き継げますが、事業譲渡では原則引き継げず買い手側で取り直しが必要になるのが一般的です。契約・雇用も、株式譲渡は原則そのまま、事業譲渡は取引先契約の巻き直しや従業員ごとの同意(再雇用手続き)が必要になりやすいとされます。

債務については、株式譲渡は簿外債務も含めて承継するリスクがある一方、事業譲渡は引き継ぐ範囲を選べるため買い手はリスクを限定しやすい違いがあります。手続き面でも、事業譲渡は会社法上、原則として株主総会の特別決議が必要になる場合があり、相対的に煩雑です。

03税金のちがい(一般論)

株式譲渡で個人株主が得た譲渡益(譲渡所得)には、原則として約20.315%が課税されます。内訳は、所得税15%+復興特別所得税0.315%(所得税額の2.1%)+住民税5%です。譲渡価額から取得費・手数料等を差し引いた譲渡益に対して、申告分離課税で課されます。

事業譲渡では、売り手は法人であることが多く、譲渡益は法人税等の課税対象(実効税率はおおむね30%前後と解説されることが多い)となります。加えて、移転する資産のうち課税対象資産(棚卸資産・建物・のれん等)には消費税がかかるのが一般的です。

POINT

個人株主の株式譲渡益は約20.315%(分離課税)。事業譲渡は法人課税+消費税が論点。

04「のれん(営業権)」と消費税

のれん(営業権)とは、買収価額と時価純資産との差額で、ブランド・取引先・技術・人材といった無形の超過収益力を反映するものです。M&Aの価格は、おおむね時価純資産+のれんで説明されることが多くなります。

事業譲渡では資産ごとに消費税の課否を判定します。課税対象は のれん・棚卸資産・建物等/非課税は 土地・有価証券・債権、と整理されます。のれんが大きいほど課税資産が増え、消費税負担も大きくなる傾向があります。なお、株式の売買自体には原則として消費税はかかりません

05税負担を抑える「役員退職金スキーム」

株式譲渡では、譲渡対価の一部を引退する経営者への役員退職金として受け取る形に組み替えるスキームがよく使われます。退職所得は(収入金額−退職所得控除)×1/2が課税対象となり、勤続年数に応じた退職所得控除(20年以下は年40万円、20年超は800万円+年70万円)と1/2課税・分離課税が組み合わさるため、金額帯によっては株式譲渡益への一律課税より実質負担が軽くなる場合があるとされます。

買い手側にも、退職金は対象会社が損金算入でき、買収時の手元資金を抑えられる利点があります。ただし、不相当に高額な退職金は税務上否認されるリスクがあり、適正額(功績倍率法等)や株主総会決議などの手続きが必要です。必ず税理士等の専門家に確認しながら進めてください。

POINT

対価の一部を役員退職金に組み替えると、退職所得控除+1/2課税で手取りが増える場合がある(要・専門家確認)。

06どちらが向く?

会社を丸ごと譲って引退したい、許認可・契約を維持したいケースは株式譲渡が向きます。特定の事業だけ売りたい、会社(法人)は手元に残したい、買い手がリスクを限定したいケースは事業譲渡が選ばれやすいとされます。税率・課税関係は個別事情で変わるため、どちらが有利かは専門家を交えて検討するのが安心です。

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