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連帯保証(経営者保証)はM&Aでどうなる?解除の最新事情

売主が最も不安に感じる個人保証。ガイドラインの3要件、特別保証制度、最新動向まで、保証解除の道筋を具体的に解説します。

01なぜ「保証だけ残る」のが不安なのか

中小企業の多くで、経営者が会社の借入に個人保証(連帯保証)を付けています。「引退しても、自分の保証だけが残るのでは」という不安は、承継をためらう最大級の理由のひとつです。保証を外さないまま譲渡すると旧経営者に旧債務の請求リスクが残るため、譲渡の前後で整理しておくことが望ましいとされています。

02「経営者保証ガイドライン」と事業承継の特則

「経営者保証に関するガイドライン」は2014年から適用されている自主的なルールで、法的拘束力はないものの、金融機関と中小企業が自発的に尊重・遵守する位置づけです。2019年12月には「事業承継時に焦点を当てた特則」が公表され(2020年4月適用)、前経営者と後継者の双方から保証を取る『二重徴求』を原則禁止とするなど、承継時の保証の扱いが整理されました。

03保証解除のカギ「3要件」

保証解除の判断材料となるのが、いわゆる『3要件』です。①法人と個人の分離——役員貸付や公私混同をなくし、会社と個人の資産・お金の流れを明確に分けること。②財務基盤の強化——債務超過を解消し、法人単独の収益力で返済できる状態にすること。③適時適切な情報開示——試算表等を定期的に提出し、決算の信頼性を高めて金融機関に開示すること。

これらを全部または一部満たすほど、新規融資で保証を求められない、あるいは既存の保証を見直してもらえる可能性が高まるとされます(最終的には金融機関の個別判断)。準備としては、社長個人への貸付金の解消・役員報酬の適正化・月次試算表の提出体制づくりなどが有効です。

POINT

保証解除のカギは「①法人と個人の分離 ②財務基盤の強化 ③適時の情報開示」の3要件。

04M&A時の保証は、どう移行・解除される?

M&A成立時は、買い手が借入を引き継ぎ、債権者(金融機関)の事前同意を得たうえで、旧経営者の保証を解除・整理していくのが一般的です。保証の移行は自動ではなく、金融機関が後継者・買い手に新たな保証を求めるケースもあります。資金力のある譲受企業が債務ごと引き継ぐ株式譲渡では、旧経営者が保証から解放されやすいとされます。

保証を外しにくい場合でも、経営者保証なしの新たな借入で既存債務を借り換えるリファイナンスや、金利上乗せ・流動資産担保(ABL)・停止条件付き保証など、保証依存を緩める代替手法もあるとされます。

05「事業承継特別保証制度」という後押し

信用保証協会には、一定の要件を満たす事業承継時の借入について経営者保証を不要にできる「事業承継特別保証制度」があります。保証限度額は一般に2億8,000万円(うち無担保8,000万円)とされ、既存の経営者保証付き借入を本制度で借り換えて保証を外すことも可能とされます。

対象は、おおむね3年以内に承継予定または承継後3年以内などの法人で、資産超過であることなどの財務要件が一般に求められます。さらに、中小企業活性化協議会等の専門家の確認を受けると保証料率の引き下げが受けられるとされます。要件・料率は改定され得るため、利用時は最新の公式情報と取引金融機関・信用保証協会での確認が必要です。

POINT

条件を満たせば、経営者保証なしで最大2.8億円。既存保証付き借入の借り換えにも使える。

06保証解除は、確実に進んでいる

近年、無保証での融資は急増しています。金融庁の調べでは、2023年度上半期の民間金融機関の新規融資に占める『経営者保証に依存しない融資』の割合は約47%に達したとされ、保証を取る際の説明・記録の義務化などが背景とされています。環境は、以前より確実に改善しています。

売主が準備しておくとよいのは、①法人・個人の資金の混同の解消、②継続的な情報開示体制、③財務基盤の改善、④取引金融機関への早めの相談と、譲渡契約での保証の扱いの明文化です。個別事情によりますので、まずは現状をご相談ください。

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